中心軸とは、どのような動きをしたときでも、体幹部分の中心線を保つと同時に、全体(全身)のバランスがとれている状態になることです。
この状態になると、動きで高いパフォーマンスを示すことができます。
では、どうすれば、中心軸を作り出せるのでしょうか?
中心軸ができる条件
どのような動きをしたときも、体感部分の中心線を保ちつつ、全身のバランスを取れるようになるには、「筋肉の機能が引き出されている」ことが条件になります。
筋肉の機能と聞くと、パワー(力の発揮)をイメージする人が多いと思うのですが、それ以外にも筋肉は、柔軟性、感覚器、力の伝達など、様々な機能を持っています。
それらの機能の中で、中心軸に深く関係しているのは「連動機能」です。
人間のカラダを、「動きのパーツ」で分類すると、腕部、体幹部、脚部の3つに分けることができます。
例えば、腕部を動かしたとき、それに合わせて体幹部と脚部の筋肉が、体幹部の中心線を保ち、全身のバランスをとるように、正しく連動することで、中心軸ができた状態になるのです。
中心軸と連動
何故、中心軸に筋肉の連動性が深く関係しているのでしょうか?
走る、飛ぶ、投げる、打つ、殴る、蹴るなど、カラダを動かすとどこかに必ず負荷がかかります。
この負荷は、カラダの一か所にかかるわけではありません。
運動によってカラダにどのような負荷がかかるのかを理解しやすいよう、動きを止めている状態で解説します。
図のような姿勢をとり、①に上から負荷Aかけたとします。
これを、シンプルな線で表すと、下のようになります。
①に物理的な負荷Aがかかると、②の部位にBの方向に向かって力に負荷がかかります。(負荷B)。
負荷Bがかかると、③の部位にCの方向に力がかかります。
もし、この垂直の線が木の棒なら、負荷Aを増やしていくと負荷Cが増加し、この部分から線は折れてしまいます。
しかし、人体で垂直の線に当たる背骨は、固い木ではなく、竹のようにしなる構造になっているので、③の部分から折れ曲がることになります。
人体の場合、③の部分から背骨が折れ曲がるか、③の部位の重心点がCの方向にズレ、体勢が崩れることになります。
③の部位は、負荷Aがかかった時、その負荷を支える土台となる部分です。
この部分の重心点がズレると、不安定な土台で負荷Aに耐えなければいけないため、どんなに腕の筋力が多くても、大きな負荷には耐えることはできません。
このようにカラダの一部に負荷がかかると、それをサポートする別の部位に負荷がかかります。そして、中心軸を作り出すには、それらの部位が瞬間的に連動して動くことが条件となるのです。
今回は、上半身(腕部、体幹部)のみの説明になりましたが、中心軸を作り出すには、これに脚部の連動が必要になります。続きは次のコラムで。