中心軸ができると、いわゆる武道で言うところの「骨で立つ」状態になります。
これが本来あるべき「正しい姿勢」で、別の表現をするなら「背骨の生理的湾曲」が正しく取れている状態です。

つまり…。
「中心軸ができた姿勢=正しい姿勢=正しい背骨の生理的湾曲」なわけです。

背骨は1本の骨ではなく、「椎骨」と呼ばれるブロック状の骨が積み重なってできています。
頭の方から順に「頚椎」「胸椎」「腰椎」、そして一番下の大きな骨を「仙骨」と言います。

この背骨を横から見ると、頸椎と腰椎は前に(前弯)、胸椎は後ろに(後湾)緩やかにS字状にカーブをしています。このカーブを生理的弯曲といいます。

真っすぐの方が安定して体を支えられそうなのに、なぜ、背骨はカーブを形成しているのでしょうか?

人間の体は、上から重力(頭の重さ)、下から衝撃(足が地面をける力)、横からの外力など、様々な負荷がかかっています。
腰には、立った状態で体重の1.5倍。座った状態で約2倍の負荷がかかっていると言われていますから、体を動かす時にはかなり大きな負荷が背骨にかかるのです。

この負荷に耐え、衝撃を和らげるために、頚椎、胸椎、腰椎の各パーツをカーブさせることで、クッションの役目をさせているのです。

例えば、真っすぐな柱の抗力を1とすると…。
湾曲した柱の抗力は、その数の2乗に1を加えたものに比例します。
そして、3つの柔軟なカーブが存在する柱は真っすぐな柱の抗力の10倍になるのです。

動かない構造物であれば真っすぐな柱で十分でしょうが、人体は動く構造物なので、その分、大きな負荷が体にかかるので、より強い抗力が必要なのです。

中心軸が崩れる(生理的湾曲が失われる)と、次のような状態になります。

1.本来は背骨が支える外圧による負荷を、筋肉で支えなくてはいけなくなるので、その分、動きに使うことができる筋肉が減る

2.筋肉に常に負荷がかかっているので、筋肉群に硬直が起こったり、連動性が下がる

3.体が非合理的な動きになってしまうため、筋肉群に余計な負担が増え、神経が疲労する

その結果、パフォーマンスが下がるということが起こるのです!

武道などで、姿勢が非常に重視されるは、姿勢が崩れることで身体能力を発揮することができなくなるからなのです。